小さく始めるマッサージ院・整体院の「開業地候補」の選び方(2)

2019/04/06

03 開業する場所を決めよう 編

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開業する物件の評価ポイント

家賃からある程度「いけそう」という物件が絞れたら、それらを精査していきます。

周囲の人口密度が高いほうがよい

よく、開業地の検討時にその市町村の「人口」にしか目を向けない人がいますが、それはあまりよくありません。
もっと小さなスケールで考える必要があります。

大事なのは「物件の周囲の人口密度」です。
特別な事情がない限り、患者さんは近くから来るもの。徒歩圏内に大きなマンションがたくさんあるようなところが理想です。

地方で車社会であれば周りに人がいなくても致命的ではありませんが、できればもっと人の多いところでやったほうがよいと思いますよ。

狭くてもよい

施術スペースは4.5畳~6畳分あれば充分です。
狭すぎないか? と思われるかもしれませんが、ベッドが一つ置ければよいので充分です。

広すぎると冷暖房で電気代がかさむので気を付けなければなりません。
患者さんに迷惑がかかる部分はコストカットするわけにはいきません。常に院内は適温である必要があり、エアコン代はケチれません。
電気代の高さに悩んでいる先生はけっこういらっしゃいます。注意しましょう。

参考までに、わたくし管理人がやっている治療院は施術室が6畳程度しかありません。営業時間内はほぼエアコンつけっぱなしですが、電気代は真夏や真冬でもほぼ2,000~4,000円で収まります。

2Fが理想。3F以上はエレベーター必須

お客さん・患者さんが自分の足であがれるのは2Fまでと思っていたほうがよいです。
3F以上はできれば避けたい(宣伝のために窓ステッカーを貼っても、3F以上だと誰も見てくれません)ですが、どうしても3F以上にする場合はエレベーターが必須です。

内見のときの注意

候補となる物件は必ず内見をすることになりますが、以下の点には特に注意したいです。

異臭がしないか

寝ているお客さん・患者さんは臭いに非常に敏感です。
自分の体験談としては、シンクから臭うところがありました。
そこはシンク下の排水パイプのパッキンが外れていたのが原因だったので、それを直せば問題なさそうだったのですが、そのようなわかりやすい問題がないのに臭う場合はやめたほうがいいと思います。

音は気にならないか

音は臭いと同様、ベッドで寝ていると非常に気になるところです。
壁が薄かったり、窓のサッシがよくなくてうるさい物件は意外に多いです。

不動産屋さんが信用できる人物かどうか

これは重要です。開業後も何か物件で問題が発生すれば対処をお願いしなければならないからです。
何か聞いたときに、知ったかぶりしてその場しのぎの回答をするような人や、めんどくさがるような人(なんとなくわかると思います)だったら注意が必要です。

周囲のライバル店は多いほうがいい

意外に思われるかもしれませんが、一人で開業するのであれば、周囲に同業者が多ければ多いほどよいです。

同じ施術者は存在しない!

これはどういうことかと言いますと。
この業界では、同じ施術者はいないからです(同じ人間がいないので当たり前ですが……)。

施術者が唯一無二である以上、周りが無数のライバル店でレッドオーシャンであることはまったく問題がないどころか、むしろその地域にマッサージ好き・整体好きが多い証拠なので好ましいということになります。

極端な話、1Fに2,980円のリラクゼーション店があるビルの2Fで一人整体院を開業するのも悪くないと思います。
その場合は1Fの店に入るお客さんが2Fの窓ステッカーや看板を見てくださるでしょうから、宣伝する手間が省けていいですね。

お客は他の店からもらえます

「本当に大丈夫なの?」とお思いのかたも多いかもしれませんが、大丈夫です。
施術については、一定水準の技術・知識があればという前提ではありますが、相性の問題がかなり大きいです。

どんなに評判のよい整体院があっても、そこで満足できない人は必ずいます。
そのようなかたは、新しい院ができればそこを試そうとします。そこで素晴らしい施術ができれば、もうその患者さんはあなたにつきます。

一人整体院は、既存のお店で満足できなくなったかたの受け皿になることが、集客の近道だと思います。

わたくし管理人が開業した物件は、100m以内に大きな激安リラクゼーション店がありました。そこからもたくさんの患者さんが流れてきましたよ。

一定水準の技術・知識がない場合は?

ちなみに、
「一定水準の技術・知識がない場合は?」
というかたは……
周囲の環境にかかわらず、開業してもダメだと思います。
周りにライバル店が一軒もなかったとしても、お客さん・患者さんは来ません。
というよりも、健康被害が出るので開業しないほうが世のため人のためということになります。

でも、学校やスクールで真面目に勉強されたかたや、お店で研修を受け現場で高い意識をもって働いていたかたは、「一定水準の技術・知識がない」ということはありえません。
安心してよいと思います。

内装工事が不要の物件がよい

これも初期費用を抑えるためには重要です。
わたくし管理人は、壁紙は入居前に大家さん持ちで張り替えてもらい、2DK相当の物件で壁がすでにありましたので間仕切り工事も不要でした。内装工事にかかった費用は0円です。
内装工事の必要がないところを選びましょう。

国家資格者は「間仕切り工事」の必要がない物件を選ぶことが特に大事

保健所に登録する国家資格者の場合、6.6㎡以上の専用施術室と3.3㎡以上の待合室があることが求められています。
問題は、この施術室と待合室の境目が、カーテンだけではNGとなるケースがあるということです。

これは保健所の担当者によります。OKを出すかたとそうでないかたがいらっしゃいます。
カーテンだけでOKなら安く上がりますが、カーテン不可で間仕切り工事をするとなりますと、費用が数万円~数十万円となり、かなりの負担となってしまいます。それは避けましょう。

事前に保健所に確認を取るか、なるべく間仕切り済みの物件を選ぶようにしましょう。



お読みいただきありがとうございました。

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