“治療系”のマッサージ店・整体院では『強押し』希望の患者を断るべきなのか?

2023/03/22

09 開業してから 編

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今回は、治療院や整体院など“治療系”の店で

「もっと強く押してくれ」

と言ってくる患者さんへの対応についてです。

“患者第一”ならば、強押しすべきでないことは明らか

『治療院』『整体院』なのに来てしまう、強押し希望の患者

基本的に~治療院・~整体院というような、いかにもリラクゼーションではないような店名にしていた場合、単なる慰安目的の患者さんは減り、悩んでいる症状を改善したいという治療目的の患者さんが増えます。


しかしながら来院患者全員がそうなることはありません。絶対にありません。

たまに、来てしまいます。

「とにかく強く押せ」

という患者さん。


これは避けられません。おそらく看板に「強押し希望者お断り」と大きく書かない限りは0人にすることなどできないでしょう。

強押しが体に悪いことは明らか

開業を決意するくらいの施術者は全員知っていると思いますが、強押しが健康を害することは医学的に明らかであり、疑いようのない事実です。


必要以上な力の施術は筋肉を傷つけてしまい、揉み返しや防御反応による筋肉の硬化を引き起こします。さらには、患者さんの体が痛みに慣れていくことで更なる強押しへの依存も招いてしまいます。

受けている患者さんが「効いた気がする」だけであり、はっきり言いまして百害あって一利なしです。

患者さんのために言っているのに……

ところがそれを説明して適切な圧で施術を続けると、納得してくださる患者さんもいらっしゃいますが、こうなることも出てきます。


「いいからもっと強く」


こういう患者さんにつきましても、残念ながら0人にはできません。


今は情報がいくらでも転がっている時代です。必要以上の強圧マッサージが体に害をもたらすという知識は、ネットにいくらでも転がっています。医学的な根拠もあります。おそらく知らない人などいないでしょう。


医学的に「まずい」、そして目の前にいる専門家が「まずい」と言っている。

なのに、素人である患者さんが「強いほうが効くので強くして」。

よく考えると凄い状況なのですが、これがありえるのが現実です。

やはり明らかに体に悪い強圧での施術は断るべき

さて、そういうときはどうすればよいのか。

これははっきり断るべきです。

治療院・整体院という名をかかげている以上、患者さんの体に悪いことは絶対にすべきではありません。もしするのであれば店名を変えたほうがよいでしょう。

強圧を求められたら毅然と拒絶するべきです。


開業当初はなかなか患者がつかず、数少ない患者さんの要望に応えたくなる気持ちは理解できます。

ですが、やはり患者さんの体を改善するという最低限のラインは守らねばなりません。それを崩すのは施術者失格と言われても仕方がないと思います。


強押しは断り、納得してもらえるよう一生懸命説明しましょう。

お引き取りいただく場合は「患者の意識を変えられなかった」「無知なまま他院に押し付けてしまった」ということ

どうしても納得してもらえない場合、お引き取りいただくしかなくなります。

これまた開業当初は怖いでしょうが、毅然とした態度で患者さんを帰して問題ありません。それが原因で潰れたお店など聞いたことがありませんので、経営的な心配は不要です。


ただしこれを、

「悪い患者を追い払ってやったぜ」

と考えてしまうのは問題で、それも施術者失格だと思います。

これではSNSなどでイキっている勘違い施術者とレベルが変わりません。


これはつまり、誤った知識・意識をお持ちの患者さんを救えなかったということです。そして本来自分がしなければならなかったその仕事を他院に押し付けてしまったということに他なりません。


ベストはあくまでも、上手なシナリオ運びと丁寧で説得力のある説明によって、患者さんにご納得いただくことなのだと思います。

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