「特化型整体院」にはしないほうがよい


実は無理に他店との差別化を図らなくてもよい

物件が決まったら、実際に整体院づくりの作業に入る前に、どんな店にするのかというイメージを固めなければなりません。
そこで一般的にどうしても避けて通れないとされているのが、他店との差別化です。

そして、よくある失敗例が、
「腰痛治療専門!」「肩こり専門!」「女性に大人気!」……
といった、店側がターゲットを勝手に絞る「特化型整体院」で差別化を図ってしまうことです。

この記事では、「特化型整体院」の危険性についてお伝えしていきます。

「特化型整体院にすべき」というアドバイスをしているのは誰なのか

腰痛専門・肩こり専門など、特化型整体院にすべきである――。
それは、業界(現場)で成功している先生方たちから自然発生した意見ではありません。
主に整体院コンサルタントさんなどの、現場にいらっしゃらない方々の意見であると思います。

けっこうな数の店が、この罠にかかって失敗しているものと思われます。
私も身近なところでいくつも失敗例を見ていますので、2つほど例を紹介します。

アドバイスの罠にかかった店の末路

突然特化整体院に舵を切って……

私のいる市で、あるビルの二階に、失礼ながらあまり流行っていなさそうなA整体院がありました。
その整体院は一人で経営されていたのですが、ある日突然、窓ステッカーで「肩こり腰痛専門」と出し始めたのです。
同じタイミングでホームページがリニューアルされ、いかにも業者が作ったようなものになったので、「ああ、コンサルタントさんにお世話になったんだろうな」とすぐにわかりました。

その後、どうなるのかな? とたまに見ていました(2Fですが、入り口や院内が大通りからよく見える)が、相変わらずお客さんが入っているようには見えません。

そして一か月くらい経つと、なぜかうちの治療院にその整体院のお客の一部が流れてきました。そのときにお聞きした話ですと、やはりお客さんからは「ブレている」と感じたそうで、不信感を持たれる結果となったようです。
(ちなみに、業者感の出すぎているホームページも親近感が持てず、お客さんからの不信に一役買ったようです)

そしてさらに半年ぐらい経ったころ、そのテナントは空になっていました。
結局、新規は増えず、既存のお客さんにも逃げられたA整体院は、そこでの営業をあきらめたようです。

特化型整体院で開業したが……

次の例は、私の住んでいる家のすぐ近くで開業された整体院の話です。
最初から「腰痛専門」というコンセプトだったらしく、窓ステッカーや看板、チラシなどにすべて『腰痛解消』という言葉を入れていました。

ところがそれではやはりダメだったらしく、客が入る気配はありませんでした。
その後もしばらく頑張ってそのまま続けていたようでしたが、一か月ほど経ったある日。
突然、窓ステッカーや看板に書かれていた『腰痛解消』の文字が、上から地の色と同色のステッカーを被せられ、すべて消されていました。

チラシも刷りなおし、駐車場の看板も修正していたようなので、けっこうな費用と手間が無駄になったのではないかと思われます。

そして当然、そのような修正をおこなったのは周辺住民にバレバレです。「この店は何をやっているのか」と思われていた可能性もありそうです。

特化型整体院は意外と冷ややかな目で見られている

町医者が「発熱専門」という看板を掲げていたらどう思われますか?
おいおい、と思うはずです。

最初から「肩こり専門」「腰痛専門」などという看板を掲げてしまっている整体院についても、世間はそんな冷ややかな目で見ています。
世間の皆さんは施術者に対し、肩こり腰痛への施術など得意で当たり前だと思っています。当然ですよね。専門家なのですから。

「肩こり専門」「腰痛専門」などと出したところで、他の施術は苦手でやりたくないのかしら? と思うだけでしょう。頼もしいわねとは思ってもらえません。
下手をしたら「ポジショニング戦略頑張ってるわね」と、全てを見透かされてしまう可能性すらあります。

インターネットの普及で、消費者は我々が想像している以上に知識をつけています。
「国家資格の学校や大手の整体スクールで『肩こり専門』『腰痛専門』に特化したところなどは存在しない」ことも、当然知っているものと思っていたほうがよいです。
そして、整体院コンサルタントHPに「~専門をアピールしたほうが集客が有利!」などとコピペしたように書かれていることも知っています。
あまり消費者を甘く見ないほうがよいと思います。

もちろん、コンサルタントさんが悪質であるとか、分析力がないとか、そのようなことを申し上げたいわけではありません。皆さん真面目にやられているものと思います。
ただ、コンサルタントという職業の性質上、どうしてもごく一部の特殊な成功例に目が行ってしまうのは致し方がないところかなと思っています。
ほぼすべての施術者は、そのごく一部の特殊な例にはならないわけですので、安易にマネをしても破滅が待っているだけです。

得意分野があるのはよいのです。
ですが、「~専門」というのをわざわざ外向けに院側から発信し、技術の幅の狭さをアピールする必要はないと思います。

本当に一流の施術者は院に「~専門」とは出していない現状

各流派の団体などで役員や顧問を務めているような一流の先生で、「肩こり専門」などというポジショニング戦略を採っているようなかたはいません。
この現状がすべてを物語っています。

今は情報共有が容易な社会です。
うまくいっていないかたが苦し紛れに差別化を図るべくそのようにしたか。整体院を始めたばかりのかたが勘違いしてそうしてしまったか。
どちらかのパターンがほとんどということは、観察眼があるかたはもう気づいているかもしれません。

いずれは、「肩こり専門」「腰痛専門」などというアピールは、お客さんが付かずにコンサルタントさんのテコ入れが入った「技術のない整体院の象徴」と見られてしまうようになるのではないかと思います。

施術者がよければ、整体院は勝手に差別化されていきます

特に一生懸命考えなくても、一人整体院は施術者の性質で勝手にコンセプトは固まっていきますし、自然と周辺住民に広まっていきます。
変にコントロールしようとして間口を狭くしたりせず、幅広い方に来院してもらうべきです。

別記事でも書きましたが、整体院やマッサージ店が多いところで開業すれば、まず「来てもらう」ことはできます。
せっかくのご縁を潰すことがないようにしてください。